季節ときもののお話し

  26496680_m  

まだ6月ではありますが、じわじわと暑さが増してきましたね。

現代のきものは、10月から5月までが袷(あわせ)、6月から単衣(ひとえ)、7月・8月が夏物(薄物)、9月が単衣、そして10月から再び袷となります。洋服の衣替えは6月から夏服、10月から冬服というシンプルな線引きですが、その実、陽気に合わせてある程度着る人任せなのに対し、なぜかきものは真夏日だからと言って6月に絽や紗のきものを着ていると、きものに詳しい人から指摘されたりすることもあり、困惑してしまいますね。

そもそもきものは、さまざまな暦と連動して着るものを決めていました。特に現代と異なるのは旧暦と新暦の違いです。

例えば、今年2023年6月22日は旧暦でいうと5月5日でした。つまり端午の節句だったのです。端午の節句は子供の成長を願う節句として知られていますが、実は夏の始まりを示す節句でもあるのです。

ですから江戸時代の衣替えは旧暦5月6日から薄物(当時は帷子-かたびら-と呼称した)となり、8月31日まで続いたのです。また、農業のために中国で生まれたとされる二十四節気では5月5日頃は立夏であり、やはり夏の到来を告げる暦となっているのです。

現在は6月は単衣のきものといわれていますが、気候変化で真夏日となることが多いので、単衣はかなり暑く辛い装いになっているのではないでしょうか?

江戸時代の慣わしに置き換えれば、今はもう薄物を着ても良い季節。お呼ばれやお茶席などの正式なお席以外であれば、薄物を着ても許されるのではないでしょうか?

季節に応じた着方をすることに、きものの美学が存在するのであれば、その季節と陽気に合わせた着方をチョイスしても良いのではないかと思います。

そしてよりその季節に合わせて、きものを選ぶときには、二十四節気、七十二侯などを調べてみて、コーディネートに自分なりの物語を作ってみるのも楽しい着方になるかと思います。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう