祇園祭の真髄。神様がお出ましになる「御神輿渡御」のお話

祇園祭の真髄。神様がお出ましになる「御神輿渡御」のお話

皆様、こんにちは。小林呉服店の店主です。
いよいよ明日は7月17日。
街中が絢爛豪華な山鉾巡行の熱気で最高潮に達する日ですね。
しかし、実は祇園祭の本来のメインであり、最重要な「神事」は山鉾ではなく、「御神輿渡御(おみこしとぎょ)」であることをご存知でしょうか。
山鉾巡行は、いわば神様がお通りになる道を事前に清めるための「露払い」。
主役である八坂神社の神様がお出ましになる御神輿の神事こそが、祇園祭の真髄なのです。
本日は、その厳かで熱気あふれる神事の流れをお話しします。
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神様をお迎えする準備から、圧巻の「石段下三基揃い」へ
7月10日:神輿洗い(みこしあらい)
神様をお迎えする準備は、7月10日から始まります。
四条大橋にて、松明の火で道を清め、鴨川から汲み上げたご神水で神輿を洗い清める儀式です。
これから神様がお乗りになる大切な神輿を、氏子たちが心を込めて浄めます。
御霊移し(みたまうつし)
清められたお神輿へ、八坂神社の本殿から神様の御霊(みたま)をお遷しする儀式です。
すべての明かりが消された浄闇(じょうあん)の中、「オー」という神職の警蹕(けいひつ)の声だけが響き渡る、非常に神秘的で厳格な時間です。
7月17日:石段下三基揃い(いしだんしたさんきぞろい)
前祭の山鉾巡行が終わった17日の夕刻。八坂神社の西楼門前(石段下)に、三基のお神輿が勢揃いします。
夕闇の中、無数の提灯に照らされた三基が並び立つ光景は、言葉を呑むほどの荘厳さです。
ここからいよいよ、神様が氏子町へと出発されます(神幸祭)。
三基のお神輿と、熱気あふれる担ぎ手たち
神様が乗られる三基のお神輿は、それぞれご祭神も形も、そして担ぎ手である「神輿会」も異なります。

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■ 中御座(なかござ)
・ご祭神:素戔嗚尊(すさのおのみこと)
・屋根の形:六角形
・担ぎ手:三若神輿会(さんわか)
・特徴:八坂神社の主祭神。三基の中心となる最も格式高いお神輿です。

■ 東御座(ひがしござ)
・ご祭神:櫛稲田姫命(くしいなだひめのみこと)
・屋根の形:四角形
・担ぎ手:四若神輿会(しわか)
・特徴:素戔嗚尊の奥様の神様。四角い屋根に擬宝珠(ぎぼし)が輝きます。

■ 西御座(にしござ)
・ご祭神:八柱御子神(やはしらのみこがみ)
・屋根の形:八角形
・担ぎ手:錦神輿会(にしき)
・特徴:お二人の間にお生まれになった8人の子供の神様。八角形の屋根です。


それぞれの神輿会が「ホイットー、ホイットー」という独特の勇ましい掛け声とともに、お神輿を美しく、そして激しく揺らしながら進む様は圧巻の一言です。
御旅所での1週間と、祇園街の「無言詣」
17日の夜、氏子町を練り歩いたお神輿は、四条寺町にある「御旅所(おたびしょ)」に到着し、ここから1週間滞在されます。
神様が街の中心にとどまり、人々の平穏を見守ってくださる特別な期間です。
この1週間の間、祇園の街では「無言詣(むごんまいり)」という古くからの風習が行われます。
これは、祇園の芸舞妓さんや街の方々が、誰とも言葉を交わさずに御旅所へお参りをするというもの。
毎晩、誰にも口を利かずに1週間通い続けることができれば、心願が成就すると言われています。
華やかなお祭りの裏側にある、京都の人々の深い祈りと信仰の姿です。

神様がお帰りになる「還幸祭」
7月24日:還幸祭(かんこうさい)と御霊返し
後祭の山鉾巡行が行われる24日の夕刻、御旅所に滞在されていた神様が、再び氏子町を練り歩きながら八坂神社へと戻られます(還幸祭)。
そして深夜、本殿へ神様をお返しする「御霊返し」が静寂の中で執り行われます。
7月28日:神輿洗い
すべての神事が終わった後、10日と同じように再び鴨川で神輿を洗い清め、お神輿は蔵へと納められます。
煌びやかな山鉾巡行のあとに続く、神様と人々の熱き1か月。
この神事の流れや意味を少し覚えておいてからお祭りをご覧になると、単なるお祭り騒ぎではない、京都の奥深い歴史の景色が見えてくるはずです。

今年の夏も、皆様が素敵なお着物や浴衣姿で、素晴らしい祇園祭を過ごされますように。

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